パリの街並み画家 荻須高徳展-私のパリ、パリの私-に行ってきました!

愛知県稲沢市にある稲沢市荻須記念美術館で現在、生誕120年記念 荻須高徳展-私のパリ、パリの私-が開催されています(会期:10月23日(土)~12月19日(日))。

先日(12月3日)、しまの介はこの展覧会に行ってきました。
この展覧会を知ったのは、NHK「日曜美術館」の後半に各地で開催されている展覧会の紹介コーナーがありますが、そこで紹介されていたのを見たのがきっかけです。

お恥ずかしい話ですが、しまの介は荻須高徳(おぎす たかのり、1901-1986)という画家を知りませんでした。
ましてや、しまの介が住んでいる東海地方出身(愛知県稲沢市出身)ということも、その稲沢市に記念美術館があることも知りませんでした。

しかし荻須画伯がパリの街を描いた画家であると知った途端に、是非ともこの展覧会に行こうと思い立ちました。

といいますのも、しまの介はヨーロッパの旧市街の街並みが大好きで、ヨーロッパにはパックツアーを利用してよく行っています。
なかでもパリの街並みは好きで、パリには5回と一番多く行ってますね。
(といいましても、延べ滞在日数は2週間程度です)
なので、是非見たいと思った次第です。

今回の展覧会には、パリの街並みを描いた作品を中心に、日本各地の美術館から集められた荻須画伯の油彩画81点が展示されました。

展覧会のパンフレットを見ますと、表紙の絵には「ガラージュ」(1937年)が使われ、裏面には「ポスターの壁」(1930年)「鯖」(1938年)「コタン小路」(1935-36年) 「ヴェネツィア、リオ・ディ・フォンテーゴ」(1968年)「レストラン、ア・ラ・グリーユ」(1978年)「金のかたつむり」(1978年) の6枚の絵が印刷されています。

「鯖」のような静物や、「ヴェネツィア」のようなパリと関係ない絵もありますが、戦前(1920年代後半)から戦後(亡くなる1986年)までの在仏50年以上(戦時中は帰国)で描かれた、初期から晩年までの作品が展示されていました。

パリの街並みといっても、荻須画伯が描いた街並みは「裏街」が多く、空は灰色を使っている絵が多い(それはパリに初めて到着した10月末の空が、どんよりとした鉛色でその印象が強烈だったからかもしれませんが…)など、けっして明るい色調の絵ではありません。

しかし「いいですね~
展覧会場の四方がパリの街並みの絵で埋められ、パリの中にドップリと浸かった状態となり、しまの介にとっては至福の時を過ごせました!

「モンマルトル」(1935年)の絵に描かれているカフェでの食事や、「金のかたつむり」(1978年) に描かれているエスカルゴ専門店「レスカルゴ・モントルグイユ」でのエスカルゴ料理が懐かしいです。

「中庭、ルネッサンス工房」(1969年)の絵は、奥行きの描写が秀逸で本当に中庭に引き込まれるような錯覚を覚えました。
「ヴェネツィア、リオ・ディ・フォンテーゴ」(1968年) の絵は、ヴェネツィアの運河沿いに曲線的に建てられた建物と水面の描写が見事で、お気に入りの1枚となりました。

また街並みを中心にした展覧会でしたが、意外に良かったのが 「麦畑」(1954年)です
麦畑がゴッホのようなタッチで描かれていますが、ゴッホを彷彿させる構図と色使いで、思わず見入ってしまいました。

稲沢市荻須記念美術館 には荻須画伯のパリのアトリエが再現されています。
また荻須画伯本人が出演しているビデオも2巻(30分/1巻)視聴できます。

あまりに素晴らしかったので、本展のガイドブック「OGUISS 120th Anniversary」 (定価2000円)も買っちゃいました。

このガイドブックは今回の展示絵画だけでなく、 各章ごとにパリ風景のデッサンが描かれた 画文集「私のパリ、パリの私 荻須高徳の回想」も収録されています。
荻須画伯の芸術観や人生観に興味ありますね。
また同時代のパリの画家、佐伯祐三画伯や藤田嗣治画伯のことも記されてます。

稲沢市荻須記念美術館での会期も迫っていますが、是非ご覧になってください。

なお、 生誕120年記念 荻須高徳展-私のパリ、パリの私-は来年は広島で開催されます。

ひろしま美術館(広島市中区基町3-2 中央公園内)
会期:2022.1月3日(月)~3月13日(日)、会期中無休)

是非どうぞ!!