本日(1月19日)、映画「ライフ・イズ・ビューティフル」を観ました。
1997年に公開されたイタリア映画です。
原題:「La vita è bella」
英題:「Life is Beautiful」
映画本編が終わり、黒塗りのエンドロール(出演者・スタッフなどを記載した字幕)が映しだされる中、そのエンドロールから目がはなせなくなりました。
そのうちにジワーっと涙があふれ出てきました。
エンドロールって、このためにあるのか。
暗がりの中で、観終わった映画の余韻に浸る。
時には涙する時間を確保するために…
しまの介はこの映画を全く知りませんでした。
全く予備知識なしに観ました。
観ようと思ったのは、題名です。
100年人生を研究するしまの介にとって、ライフ=人生に関わるものはチェックしておきたいと思っています。
「ライフ・イズ・ビューティフル」つまり「人生は美しい」と題する映画とは、どんな内容の映画なのか?
一度観ておかなくては、という想いから観てみました。
正直、前半は面白くなかったですね。
この映画、コメディなのかなぁ?
この主役、なんでこの人を主役として採用したのかなぁ?
(正直、冴えない役者だなぁと感じました)
そして、途中で観るのを止めようかとも思いました。
余談ですが、作家の森村誠一さんは映画について、「最初の15分くらいを観た段階で、まず観るに価する作品かどうかを判断する(注)」と書いています。
(注)「定年上手」(PHP文庫)p119
この基準でいくと、この作品も観るに価しないと判断してしまうくらい、前半はつまらなかったですね。
しかし題名につられて、ここは我慢しようと観続けました。
撮影場所のイタリアの町の風景も良かったですしね。
(ネットで検索すると、撮影した町はトスカーナ州の古都アレッツォみたいです)
そのうちに、この父子はどうなるんだろう?と、展開に非常に興味が湧きだし、その後はハラハラしながら観ることができました。
そして、エンドロールをながめているうちに、前半のつまらない場面の意味を知ることとなりました。
そして、涙.涙.
ここまで読まれて、この映画をご覧になりたいと思われた方は、是非この作品を観てください。
以下にこの映画についての補足説明(予備知識)を記載します。
が、これを読まれる前に映画を観ていただいた方が感動の度合いが違うと思います。
是非、予備知識なしにご覧になってください。
この映画の主役(しまの介が「なんでこの人が主役?」と思った)を演じたロベルト・ベニーニは、なんとこの映画の監督でもあったんです!
監督自らが演じた映画です。
これじゃあ、役者に文句は言えないですね。
そして主役の奥さん役を演じたニコレッタ・ブラスキは、 ロベルト・ベニーニの本物の奥さんなんですと!
この作品は、1998年の第51回カンヌ国際映画祭(フランス)で、審査員グランプリを受賞。
1999年の第71回アカデミー賞(アメリカ)で、主演男優賞、作曲賞、外国語映画賞を受賞しています。
主演男優賞を受賞するほど、ロベルト・ベニーニの演技は評価されたということですね。
しまの介が涙したのも、彼の演技と脚本に負うところが大きいですかね。
(ロベルト・ベニーニは本作品の脚本も手掛けています!)
以上 参考 Wikipedia
では、しまの介はなぜ涙したのか?
自分の感情を分析するのは、なかなか難しいですが…
前半からユーモアのある作品だったため、最後はどこかから父親はひょっこり現れると思っていました。
前半の展開から、父親はそんなキャラクターとして描かれていましたし、だからひょっこり現れるという期待がもてました。
しかし父親は現れませんでした。
やはりあの銃声によって、銃殺されたのです。
息子と母親は助かりました。
2人が助かってよかったと泣けたわけではありません。
涙の訳は、あのユーモアのある父親の死という結末ですね。
けっして裕福ではないけれど、愉快に暮らしていた家族がナチスにより引き裂かれました。
その家族の愉快さ、温かさは前半のコメディタッチで際立ちます。
また父親は、最後まで息子をユーモアで勇気づけました。
その父親が銃殺されたのです。
ユーモアと死のギャップ。
その結末は前半の展開からみると、あまりに衝撃的です。
うそだろって思います。
しかし、あの時代には当たり前にあった現実なんです。
このあたりの脚本の上手さと、主役兼監督のロベルト・ベニーニの演技力とが相まって、ぼう然とエンドロールを眺めながら涙してしまいました。
う~ん、名作ですね。